不動産を、徒然なるままに

現役不動産屋が名作マンションや不動産サービスの良し悪しを解説、分析します

自動運転によって不動産価格は変わらない5つの理由

自動車の自動運転が盛り上がっています。

  

アメリカのテクノロジー企業「Google」や、電気自動車メーカ「テスラ」、タクシー配送アプリ「Uber」など各社がこぞって自動運転の研究をしています。

 

トヨタもいろいろ研究しているみたいですね。

 

自動車の自動化と共に、注目されているのが「もし自動運転が広がったら不動産の価値が変わるのではないか?」という点。

 

自動運転が一般化したら、電車による辛い通勤から解放される可能性があります。

なにしろ、家から出たら自動車に乗り込んで、あとは勤務先であるオフィスや学校に着くまで待てば良いわけですから、駅近立地や、都心部に人気が集中する今のトレンドが変わるのではないか、ということですね。

 

結果として、駅近立地や、都心部の不動産価格が下がるのではないかという予想が出てきたわけです。

もし不動産地価が変わると、不動産投資を始めとして多くの影響が出てきます。

 

はたして、自動運転によって不動産価格は変わるのでしょうか?

 

私の見立てとしては、自動運転が一般化しても地価に多くの影響はないと考えています。

この記事では、自動運転が地価にどのように影響を与えるか、それとも与えないかを分析していきます。

 

(ちなみに中古マンションの適正価格を調べるにはハウスマートが運営しているカウルというアプリが便利です。最近激ハマり中)

zyutakufudosan.hatenablog.com

  

 

理由1.オフィスに自動車を止めるスペースがない

まず一番大きいのはオフィスにそもそも自動車を止めるスペースがないということです。

大企業が入っている都心の立派なビルでさえ、社員数分の駐車場スペースはありません。

ましてや、大多数の中規模〜小規模オフィスは、そもそも駐車場がありません。

社員が自動運転の車で出勤したいと思っても、勤務先にそれを受け入れるキャパがないのです。

  

理由2.通勤時間の短縮を求めるニーズは変わらない

出勤時間を短くしたいというのは、強いニーズです。

出勤時間が30分の家と、出勤時間が1時間30分かかる家であれば、誰しもが出勤時間30分の家に住みたいでしょう。

 

朝は時間がありません。

子供がいればなおさら、子供の身支度や保育園への送り迎えで時間がかかります。

 

いくら自動運転が発達しても、郊外の立地では通勤に時間がかかることは変わりがありません。

タクシーで出社したことがある人は分かると思いますが、自動車が電車に比べて早いというわけではないのです(快適度は異なりますが・・・)。

 

むしろ自動運転が一般的になることによって道路が混雑し、通勤時間や移動時間がもっとかかるようになるかもしれません(日本の道路インフラは先進国に比べて貧弱です)

   

理由3.郊外は都市インフラを保つことが出来ない

これからの日本は間違いなく人口減に突入していきます。

そうすると、郊外の自治体の中には生活インフラ・都市インフラを財政的に保つことが出来ないエリアが出てきます。

 

インフラを快適に保つためには莫大な費用が必要だからです。

 

そうすると都市計画エリアが変わり「このエリアに住んでください」と設定されているエリア(都市計画区域)がより狭く設定されるでしょう。

 

どこが「このエリアに住んでください」と設定されるかというと、すでに便利なエリア、すでにインフラが整っているエリア、つまり「駅近」「都市部」ということになります。

 

理由4.誰しもが複数の自動運転車を保有出来るわけではない

もし夫婦共働き出会った場合、郊外に暮らして都市部のオフィスに通勤するためには最低2台の自動運転車を保有する必要があります。

 

もし子供が通学をしていて、その通学も自動運転車で行うつもりであれば、3〜5台必要になるでしょう。

 

自動運転車は複雑な車内システム、センサーが必要となるため、頻繁なメンテナンスが必要であり、そのランニングコストは高く付きます。

 

家族が不便なく郊外で生活するためには複数台の自動運転車が必要になりますが、それだけの台数を保有出来る層は一部でしょう。

  

不動産価格や地価に影響を及ぼすほどの多数派にはならないはずです。

 

理由5.テレワークは広がらない

自動運転とはすこしテーマが異なりますが「テレワークが広がることによって、そもそも通勤が必要なくなるのではないか?」という議論があります。

 

通勤が必要なくなれば、確かに駅近立地や都市部の不動産価格に影響がありそうです。

 

私は、テレワークが世の中のビジネスマンに一般化するとは予想していません。

 

一時期はテレワークがもてはやされました。

しかし、今はGoogleIBM、P&Gなど多くの会社でテレワークが廃止されています。

 

廃止の理由は「会社に活力がなくなるから」「イノベーションが生まれないから」という理由。

 

特にイノベーションや新規事業、改善が必要なIT企業はそうでしょう。

また多くのメーカーでは、実際に工場で手を動かす必要があります。

 

まとめ

自動運転によって不動産価格は変わらない5つの理由、いかがでしたでしょうか。不動産テックなどのサービスによって、郊外の暮らしが便利になる、ということはありそうですが、不動産価格にまで影響はなさそうだと思います。